リフティングがなかなか続かない、何度練習しても回数が増えないという声は、小学生のサッカーでよく聞かれます。うまくいかない理由のほとんどは、練習の順序や体の使い方の基本がまだ整っていないことにあります。段階を踏んで取り組めば、どの子も少しずつ感覚をつかんでいけます。
この記事では、小学生がリフティングを上達させるために知っておきたいコツと練習ステップを整理します。インステップを中心とした基本の体の使い方、ワンバウンドからノーバウンドへの段階的な取り組み方、続かない原因と対処法、そして保護者が家でできるサポートまでまとめています。
サッカーを始めたばかりでも、少し練習しているけれど伸び悩んでいるお子さんでも、それぞれの状況に合った取り組み方が見つかるように整理しているので、ぜひ参考にしてください。
小学生のリフティングが上達するために最初に知っておきたいこと
リフティングを練習するとき、最初に整理しておきたいのは「何のために練習するのか」という目的です。目的がはっきりすると、練習の方向性が定まり、無駄な遠回りを減らせます。
リフティングはボールコントロールの感覚を養うための練習
リフティングは、試合中に何十回も連続して行う技術ではありません。その目的は、ボールを体のさまざまな部位に正確に当て、コントロールする感覚を養うことにあります。
足の甲、内側、外側、太ももなど、どこでボールに触れても次のプレーに移れる体の動かし方を、リフティングの反復練習で身につけていきます。片足でバランスを保ちながら、もう片足を自由に動かす力も自然と育っていきます。
リフティングが得意な子どもは試合でもボールコントロールがよいケースが多く、練習の効果は実戦にも出やすいといわれています。
回数よりも「正確なタッチ」を優先する
リフティングの回数は、上達の目安の一つですが、それだけを追いすぎると本質を見失いがちです。1回1回のボールタッチが正確かどうかのほうが大切です。
回数を増やしたい気持ちが強くなると、焦って次のタッチを急ぐようになり、ボールを蹴る動作が雑になります。1回をていねいに蹴り、落ちてくるボールをしっかり捉えることの積み重ねが、結果として回数の伸びにつながります。
特定の部位だけで高い回数ができる選手よりも、どの部位でも安定してボールを扱える選手のほうが、試合での適応力は高いとされています。多様な部位を使うことを意識するとよいでしょう。
「ちょんちょんリフティング」と「インステップリフティング」の違いを知る
リフティングには大きく2つのやり方があります。一つは、つま先や足の指の付け根あたりで小さくボールをちょんちょんと上げ続ける「ちょんちょんリフティング」。もう一つは、足の甲(インステップ)でしっかりとボールを蹴り上げる「インステップリフティング」です。
ちょんちょんリフティングは感覚でまかなえる部分が多く、正確なボールコントロールの習得にはつながりにくいとされています。インステップでしっかりとボールに当てる練習のほうが、キックやトラップの技術向上に直結しやすいです。
最初の段階では、つま先でちょんちょんするのではなく、足の甲の中央にボールをしっかり当てることを意識して練習する方向が適しています。
・目的は「ボールコントロールの感覚を養う」こと
・回数より1回1回の正確なタッチを優先する
・ちょんちょんリフティングより、インステップでしっかり当てる練習から始める
- リフティングはボールコントロール力を高めるための練習で、試合での適応力に直結する
- 回数を増やすより、1タッチの精度を高めることが上達への近道
- 足の甲(インステップ)でしっかりとボールに当てるところから始めるとよい
- どの部位でも扱えるようになることが、最終的な目標の一つになる
段階を追って身につける練習ステップ
リフティングは、最初から連続でノーバウンドを目指すより、段階的に取り組むほうが確実に身につきます。自分の現在地に合ったステップから始めることがポイントです。
STEP1:手でキャッチを組み合わせたリフティング
リフティングをまったく経験していない段階では、まずボールを手で持ち、足元に落としてインステップで蹴り上げ、手でキャッチするところから始めます。「蹴る→キャッチ」をセットで繰り返す練習です。
この段階で大切なのは、ボールの中心をインステップに当てる感覚をつかむことです。毎回同じ動作を繰り返すことで、体がボールとの距離感を覚えていきます。手でキャッチすることで、ボールが変な方向に飛んだときもすぐに次の試行に移れるため、集中が途切れにくいです。
1回蹴ってキャッチを安定させたら、2回蹴ってキャッチ、3回蹴ってキャッチと徐々に回数を増やしていきます。10回連続でできるようになったら次のステップに進みます。
STEP2:ワンバウンドリフティングに挑戦する
手を使ったリフティングが安定してきたら、ワンバウンドリフティングに移ります。ボールを地面に一度バウンドさせ、跳ね返ってきたところをインステップで蹴り上げ、またバウンドさせて蹴るという動作を繰り返します。
ワンバウンドを挟むことで、次のタッチまでに時間の余裕ができ、焦らずにボールの中心を捉えやすくなります。右足だけ、左足だけ、左右交互と分けて練習するとバランスよく力がつきます。
各パターンで50回を目安に安定してできるようになったら、次のステップへ進みます。まずは利き足から取り組み、少し慣れたら逆足にも挑戦するとよいでしょう。
STEP3:ノーバウンドのリフティングに進む
ワンバウンドリフティングが安定したら、いよいよノーバウンドのリフティングに挑戦します。地面に一切バウンドさせず、空中でボールを連続して蹴り続ける練習です。
最初は2回連続を目標にし、少しずつ回数を伸ばしていきます。焦りが出ると動作が雑になりやすいため、ゆっくり1タッチ1タッチを大切にすることが先決です。ボールが体の中心(お腹の前あたり)の上で動くように意識すると、バランスを保ちやすくなります。
右足だけ、左足だけでそれぞれ50回を安定して達成できれば、リフティングの技術的な基礎は十分整ったと考えてよいでしょう。そこからは回数を増やすより、インサイドや太ももなど他の部位に挑戦することで、ボールコントロールの幅が広がります。
| ステップ | 練習内容 | 目安の目標 |
|---|---|---|
| STEP1 | 手でキャッチを組み合わせたリフティング | 10回連続 |
| STEP2 | ワンバウンドリフティング(右・左・交互) | 各50回連続 |
| STEP3 | ノーバウンドリフティング(右・左・交互) | 各50回連続 |
| 発展 | インサイド・太もも・アウトサイドへの拡張 | 各部位で安定 |
- 最初は手キャッチを組み合わせ、ボールの中心に当てる感覚をつかむ
- ワンバウンドで時間の余裕を作り、正確なタッチを身につける
- ノーバウンドに進んだら、1タッチの丁寧さを崩さないようにする
- 各ステップで利き足・逆足・交互と分けて練習するとバランスよく力がつく
部位別に押さえるボールタッチのコツ
インステップだけでなく、インサイド・アウトサイド・太ももなど複数の部位でボールに触れることで、体の動かし方のバリエーションが増えます。部位ごとに注意点が異なるため、それぞれ整理しておきます。
インステップ(足の甲):力を抜いてボールの真下に当てる
インステップは、足の甲のほぼ中央の面でボールを蹴る部位です。リフティングで最もよく使われ、キックの技術にも直結するため、最初に習得したい部位です。
足の甲は硬く、力みがちな部位です。力が入りすぎるとボールが高く上がりすぎたり、横に飛んだりします。ボールが腰より高くならない程度の力加減を目安にしましょう。膝を軽く曲げてボールを蹴り上げると、次のタッチへの体勢が整いやすくなります。
足首は完全に固定するのではなく、自然な状態を保つとボールタッチが柔らかくなります。つま先を上向きにしすぎるとボールが変な回転で飛びやすいため、地面と平行に近いイメージで当てるとよいでしょう。
インサイド(足の内側)・太もも:面を平らに保つ
インサイドは土踏まず付近の内側の面です。インサイドでリフティングをするときは、足の内側の面をボールに対して平らにすることがポイントです。平らにしようとして足を高く上げると逆に不安定になるため、膝と足首を返しながら足の位置を低く保つよう意識します。
太ももは、他の部位と比べてボールに触れる面積が広く、比較的安定させやすい部位です。太ももでリフティングをするときは、膝をしっかり上げ、太ももが地面と平行になる位置で触れることがコツです。太ももが上がっていないと、ボールが前に進んでしまいやすくなります。
アウトサイド(足の外側):軸足の膝のクッションを使う
アウトサイドはリフティングの中でも難易度が高い部位です。ボールを外側から蹴り上げるより、軸足の膝を小刻みに曲げ伸ばしながらボールを突くようなイメージで触れると安定しやすくなります。
アウトサイドで触れるとき、足を横に開いて蹴ろうとする子どもが多いですが、股関節を内側にひねりながら足を前に出してボールに触れるほうが、体のバランスを崩しにくいです。インステップと逆足が安定してきた段階から、少しずつ挑戦してみるとよいでしょう。
・インステップ:力を抜いて腰の高さ以下、膝は軽く曲げる
・インサイド:足の内側を平らに保ち、足の位置は低くする
・太もも:膝を上げて地面と平行に
・アウトサイド:膝のクッションを使い、足を前に出して触れる
- インステップは力みを取り、腰の高さ以下でボールを扱うのが基本
- インサイドは面の平らさを意識し、足の位置を低くする
- 太ももは膝を上げて面を水平に保つことで安定する
- アウトサイドは膝のクッションを活用し、足を横でなく前に出す
続かない・伸び悩む原因と対処のしかた
しばらく練習しているのに回数が増えない、すぐにボールが横に飛んでしまうという状況は、多くの子どもが経験します。原因を一つずつ確認することで、対処が見えてきます。
ボールが安定しない主な原因を確認する
リフティングが続かないとき、よく見られる原因として次のものがあります。一つは、ボールをお腹の前(体の中心)ではなく、体から離れた位置でタッチしていることです。ボールが体から遠い位置に来ると、足を伸ばしたり体をのけぞらせたりするために姿勢が崩れ、次のタッチができなくなります。
もう一つは、膝を伸ばしたままで蹴ろうとしていることです。膝が硬いと次のボールへの動きが遅れ、ボールが遠くに逃げやすくなります。膝を軽く曲げてボールを蹴ると、体勢を整えやすくなります。また、ボールを見ていない、または視線がぶれていることも原因になります。ボールを常に視野に入れながら蹴る習慣をつけましょう。
伸び悩んだときに試したいアプローチ
回数がしばらく伸びない場合は、練習の内容や目標を変えることが助けになります。たとえば、利き足だけで50回という目標を達成したら、逆足や両足交互に切り替えるか、インサイドや太ももなど別の部位に挑戦することで、新しい課題感が生まれます。
練習の記録を数字で残すことも有効です。今日は15回、昨日は12回という記録をノートやカードに書いておくだけで、成長が目に見えてわかります。できないことに目が向きがちな時期でも、数字の変化が続ける理由になります。
1週間に1回長時間練習するより、毎日10分程度を継続するほうが感覚が定着しやすいとされています。短い時間でもボールに触れる機会をできるだけ毎日確保するのが上達への近道です。
練習が嫌いになる前に目標の設定を調整する
小学生年代では、できないことが続くと練習が嫌いになりやすく、途中でやめてしまうことも珍しくありません。目標が高すぎるとモチベーションが続きにくいため、現在の記録より少し上を次の目標にするのがよいでしょう。
たとえば現在の最高記録が8回なら「まず10回」、10回を超えたら「次は15回」と、小さなステップで目標を更新する方法が取り組みやすいです。記録更新のたびに達成感を感じられるように工夫すると、練習を続けるエネルギーになります。
コーチや保護者が「今日は何回だった?」と記録を一緒に確認するだけでも、子ども側に「見てもらえている」という感覚が生まれ、練習に向かいやすくなります。
・ボールを体の中心(お腹の前)でタッチできているか
・膝を軽く曲げて蹴れているか
・ボールを最後まで視線で追えているか
・目標が高すぎて達成感がなくなっていないか
- ボールが体から離れた位置でのタッチはバランスを崩す主な原因になる
- 膝を軽く曲げてボールを蹴ると、次の動作への移行がスムーズになる
- 毎日短時間でもボールに触れることが感覚の定着を助ける
- 目標を小さく刻むことで達成感が生まれ、練習を続けやすくなる
保護者が家でできるサポートと練習環境づくり
リフティングの上達は、子ども本人の練習量に大きく左右されますが、保護者のサポートが練習を続けるための環境を左右することも少なくありません。家でできる関わり方を整理しておきます。
一緒に練習する・記録をつける
保護者が隣で一緒にボールを蹴るだけで、子どもの取り組む姿勢が変わることがあります。上手くできなくても、保護者自身がボールをコントロールしようとしている姿を見せることが、子どもにとっての刺激になります。
記録をつける習慣も効果的です。日付と最高記録をノートや紙のシートに書いていくだけでよく、成長のグラフを見ることが子どものモチベーションになります。保護者が毎日「何回だった?」と一言確認するだけでも、習慣が続きやすくなります。
室内でも取り組める環境を整える
外に出られない日や雨の日でも、家の中でリフティングの感覚練習はできます。フローリングやカーペットの上でも、柔らかいボール(軽量のトレーニングボールやスポンジボールなど)を使えばリスクを減らしながら練習できます。
狭い空間では、手を使ったリフティングやワンバウンドリフティングなどの初期練習が取り組みやすいです。壁に向かってインステップで蹴って戻ってきたボールを足で受けるという練習も、空間をほとんど使わずにボールタッチの感覚を養えます。ただし、家の中で練習する場合は、周囲の安全を確認し、物を傷つけないよう注意が必要です。
声かけの方向性:できないことより、できたことを言葉にする
練習がうまくいかないとき、「なんでできないの」「もっとちゃんと見て」という言葉が出やすくなりますが、その都度できなかった点を指摘することは、子どもの意欲を下げる方向に働きがちです。
それよりも、「さっきより高く上がってた」「今日は昨日より3回多い」など、変化や成長に目を向けた言葉かけが、練習を続けるための土台になります。上手くいかない日があっても「それでも続けることに意味がある」という雰囲気を家庭で作れると、長く取り組みやすくなります。
また、リフティングの回数だけを評価基準にせず、「体の使い方が変わってきた」「バランスが安定してきた」といった変化も言葉にするとよいでしょう。
| 保護者のサポート | 具体的な方法 |
|---|---|
| 記録管理 | 日付と回数をノートに書き、一緒に振り返る |
| 一緒に練習 | 隣でボールを蹴る、パスを出す |
| 室内練習 | 柔らかいボールで手キャッチや壁当て練習 |
| 声かけ | できたことや変化を言葉にする |
- 保護者が一緒に練習することで、子どもの取り組む姿勢が変わりやすい
- 記録をつけて成長を可視化することがモチベーション維持に役立つ
- 室内でも柔らかいボールを使えば感覚練習を継続できる
- できたことや変化を言葉にする声かけが、練習を続ける支えになる
まとめ
小学生のリフティング上達には、段階的な練習ステップと正確なボールタッチの積み重ねが土台になります。最初から回数を追うより、インステップでボールの中心をしっかり捉える感覚をつかむことが先決です。
まず取り組んでほしいのは、手でキャッチを組み合わせた「STEP1」の練習です。ボールを落として蹴り、手でキャッチするというシンプルな動作で、インステップに当てる感覚が自然と身についていきます。
リフティングは一朝一夕で上達するものではありませんが、毎日少しずつ触れ続けることで、ある時点から感覚がつながって一気に伸びることがあります。お子さんのペースを大切にしながら、練習を楽しく続けられる環境を一緒につくっていきましょう。

