少年サッカーの試合会場でコート作りを初めて担当するとき、「どこから始めればいいのか」「寸法はどこで確認すればいいのか」と迷う方は少なくありません。土のグラウンドに一から線を引くのは、慣れた人でなければなかなか段取りが難しいものです。
調べてみると、小学生のサッカーはJFAが定める「8人制サッカー競技規則」をもとにコートを設計します。同規則のPDFを確認したところ、コートサイズや各エリアの寸法、交代ゾーンの引き方まで細かく規定されています。規則で定められた数値を押さえておくと、コート作りの全体像が見えてきます。
この記事では、JFA公式の8人制サッカー競技規則をベースに、小学生サッカーのコートの寸法・各エリアの測り方・必要な道具・作業の手順を整理しました。初めて担当するコーチや保護者の方が迷わずに動けるように、要点を絞ってまとめています。
小学生サッカーコートの基本寸法を確認しよう
コートを作り始める前に、各エリアの寸法を頭に入れておくと測定作業がスムーズになります。JFAが公開している「8人制サッカー競技規則」(競技のフィールド・第1条)に記載されている数値を確認しながら整理しました。11人制(中学生以上)との違いも一緒に把握しておくとよいでしょう。
コート全体のサイズ(推奨値)
JFA公式の8人制サッカー競技規則では、コートサイズは「68m×50m」を推奨としています。タッチライン(縦)が68m、ゴールライン(横)が50mです。これは11人制のコート(105m×68m程度)のほぼ半分の面積で、大人用コート1面に対して8人制コートを2面設定できる計算になります。
ただし、同規則では「使用する試合会場の大きさによって修正することは可とする」とも記されています。グラウンドの広さによっては68m×50mを確保できない場合もあるため、大会主催者や所属チームの担当者に事前に確認しておくとよいでしょう。
ゴールエリアとペナルティエリアの寸法
ゴールエリアは、ゴールポストの内側から4m・縦4mの長方形です。ゴールキックを蹴る際にボールを置けるエリアで、ゴールポストの内側から左右それぞれ4mの位置にラインを引き、フィールド内に4m延ばして先端を結びます。
ペナルティエリアはゴールエリアの外側に設置する大きなエリアで、ゴールポストの内側から左右それぞれ12m・縦12mです。このエリア内でファウルがあった場合はペナルティキックが与えられ、GKが手を使えるのもこのエリア内に限られます。ペナルティマーク(PKスポット)はゴールラインから8mの位置に設置します。
センターサークル・ペナルティアーク・その他の寸法
センターサークルの半径は7mです。11人制では9.15mのため、小学生年代では小さくなります。ペナルティアーク(PKスポットを中心に引く円弧)も半径7mです。コーナーキック時に相手選手が入れないエリアを示す「任意のマーク」は、コーナーフラッグから7mの位置に引きます。
交代ゾーンはベンチ側のタッチライン上に設置します。ハーフウェーラインの中央の仮想ラインから左右それぞれ3m、合計6mの範囲です。タッチラインから離して(30cm程度外側に)引くのが規則の考え方です。
| エリア名 | 8人制(U-12)の寸法 | 11人制(中学生以上)の寸法 |
|---|---|---|
| コート全体 | 68m×50m(推奨) | 90〜120m×45〜90m |
| ゴールエリア | ポスト内側から4m・縦4m | ポスト内側から5.5m・縦5.5m |
| ペナルティエリア | ポスト内側から12m・縦12m | ポスト内側から16.5m・縦16.5m |
| ペナルティマーク | ゴールラインから8m | ゴールラインから11m |
| センターサークル | 半径7m | 半径9.15m |
| ゴールサイズ(推奨) | 5m×2.15m(少年用) | 7.32m×2.44m |
- コート全体は68m×50mが推奨ですが、グラウンド事情により修正可とされています。
- ペナルティエリアはゴールポスト内側から左右12m・縦12mです。
- センターサークルとペナルティアークはいずれも半径7mです。
- 11人制と寸法が異なるため、中学生以上の基準と混同しないよう注意が必要です。
- 詳細はJFA公式サイト(jfa.jp)で「8人制サッカー競技規則」を検索してご確認ください。
コートを作るために必要な道具を確認しよう
コートを作る前に道具をそろえておくと、当日の作業が格段にスムーズになります。どの道具が何に必要かを把握したうえで、事前にチームや学校の備品として何が使えるかを確認しておくとよいでしょう。ここでは実際の作業に必要な道具と、その役割・選び方のポイントを整理しました。
ラインカーと石灰(ライン用粉)
ラインカーはグラウンドに白い線を引くための道具です。サッカー用のラインカーを使うとライン幅が12cm(JFA競技規則の上限)に合わせやすく、均等な線が引けます。2輪タイプより4輪タイプのほうが直進安定性が高く、初心者でも比較的まっすぐ引きやすいです。
使用する粉はグラウンド用の石灰を選びます。園芸用の消石灰は目や皮膚に刺激が強いためスポーツ用途には不向きです。スポーツ用(消石灰不使用)の製品を使うとよいでしょう。ラインカーは最低1台、同時進行で両サイドを作業するなら2台あると効率が上がります。
メジャー(巻尺)の選び方と本数
メジャーは各エリアの寸法を測るために必要です。コート全体の縦68mを測ることもあるため、100m対応のメジャーを最低1本用意します。2本あれば両サイドを同時に測れて作業時間が短縮できます。
ペナルティエリアやセンターサークルは「両サイドのラインが平行かどうか」を確認しながら進めるため、対角線を同時に測れると精度が上がります。メジャーにあらかじめ必要な寸法(4m・12m・8m・7mなど)に目印のテープを貼っておくと、測定ミスが減ります。
コーナーフラッグとゴール
コーナーフラッグはコート四隅に立てる旗です。1面に4本必要で、規則ではポールの高さは1.5m以上と定められています(11人制規則に準拠)。コーナーアーク(半径1m)を引く際の基準点になるため、正確な位置に立てることが大切です。
ゴールはU-12年代の推奨サイズが5m×2.15mです。少年用ゴールがない場合、フットサルゴールを2台並べる・コーンで代用することも規則上可とされています。ゴールは必ずアンカー(固定用くい)で地面に固定して転倒を防いでください。固定されていないゴールは転倒事故のリスクがあります。
ラインカー(サッカー用12cm幅):1〜2台
グラウンド用石灰:適量
100mメジャー:最低1本(2本あると効率アップ)
コーナーフラッグ:4本
ゴール(5m×2.15m推奨):2台
目印用マーカーコーン:10個以上(各ポイントの印に使用)
- ラインカーはサッカー用12cm幅を使うと規則に合わせやすいです。
- 石灰はグラウンド用(消石灰不使用)を選びましょう。
- メジャーは100m対応を最低1本、できれば2本用意します。
- ゴールは必ずアンカーで固定してください。固定なしは安全上禁止です。
- 事前にチームの備品や学校備品を確認しておくと当日の準備が楽になります。
コートの引き方の手順と直角の取り方
コート作りで最も重要なのが「直角を正確に取ること」です。直角がずれると、コート全体が平行四辺形のような歪んだ形になります。作業の手順と直角を取るためのポイントを、実際の現場でよく使われる方法をもとに整理しました。
直角の取り方「3:4:5の法則」を使う
グラウンドに直角を作るには、直角三角形の辺の比「3:4:5」を使う方法が現場でよく用いられます。ゴールラインを基準線として引いた後、タッチラインを引くコーナー部分で直角を確認します。
具体的な手順は次のとおりです。ゴールラインの端(コーナーの点)から3mの位置に印をつけます。次に、コーナーの点から4mのところにメジャーを当てながら、3mの印から5mになる地点を探します。この3mと5mの交点がタッチラインの方向になります。3mの倍数(6m・9m・12m)を使えば精度が上がります。
コート全体の外枠から引く順番
まず基準となるタッチライン(縦68m)を1本引きます。次に3:4:5の法則でコーナーの直角を確認しながらゴールライン(横50m)を引きます。反対側も同様に引いて、外枠(長方形)を先に完成させます。
外枠を作ったらハーフウェーラインを引き、ゴールの中央に合わせてゴールを設置します。ゴールの中央位置がズレると、以降のペナルティエリア・ゴールエリアの測定がすべてズレてしまうため、ゴール設置は早い段階で行うのがポイントです。ゴールを設置した後に各エリアの印をつけていくと、測定の起点が安定します。
ゴールエリア・ペナルティエリアの引き方
ゴールエリアとペナルティエリアは必ず両サイド(2つのゴール側)を同時に測りながら進めます。片側ずつ完成させると、ゴールラインの全長(68m)でのズレが生じやすくなります。
手順として、まずゴールポストの内側から左右4m・12mの位置にコーン等で印をつけます(両サイドのゴール分で合計8か所・16か所の印が必要)。印をつけ終えたら、フィールド内に向かって4m・12m延ばした先端に印をつけ、それを結んでラインを引きます。ペナルティエリアの各点を結ぶ際に「印の組み合わせを間違える」ミスが起きやすいため、色違いのマーカーを使って区別すると作業ミスを防げます。
①基準タッチライン(68m)を1本引く
②3:4:5の法則でコーナーの直角を確認しゴールラインを引く
③反対側のゴールラインも同様に引いて外枠を完成させる
④ハーフウェーラインを引き、ゴールを設置・固定する
⑤両サイドのゴールポストを起点に、ゴールエリア・ペナルティエリアの印を同時につける
⑥各エリアのラインを引く
⑦センターサークル・ペナルティアークを円弧で引く
⑧交代ゾーン・任意のマークを加えて完成
- 直角は3:4:5の法則で取るのが現場では定番の方法です。
- 外枠を先に完成させてからゴール設置、その後に内部ラインを引く順番が基本です。
- ペナルティエリアは両サイドを同時に測ることでズレを防げます。
- 印をつける際は色の違うマーカーを使うとゴールエリアとの混同を防げます。
- 少人数(3〜4人)でも役割分担すれば20〜30分程度でコートを作れます。
公式戦に必要な「任意のマーク」と交代ゾーンの確認
練習試合では省略されることもありますが、公式戦ではいくつかの追加マーキングが必要です。見落としがちな「任意のマーク」と「交代ゾーン」について、JFA競技規則を確認しながら整理しました。担当審判から指摘を受ける前に、事前にチェックしておくとスムーズです。
任意のマークとは何か・なぜ必要か
「任意のマーク」とは、コーナーキックを蹴る際に守備側の選手が近づけない距離の基準を示すラインです。8人制サッカー競技規則では、コーナーアーク(半径1m)から7mの位置に、ゴールラインとタッチラインに対して直角のマークをつけることができる、と規定されています。
「できる」という表現のため任意ですが、公式戦ではこのマークを引くよう求められる場合があります。フレンドリーマッチや練習試合では省略されることが多いですが、地域の公式大会では大会規定を確認するとよいでしょう。引き忘れた場合は試合前の審判チェックで指摘されることがあります。
交代ゾーンの引き方
8人制サッカーは自由に交代できるため、交代ゾーンの設置が必要です。ベンチ側のタッチライン上、ハーフウェーラインの中央の仮想ラインから左右3mずつ(合計6m)の範囲が交代ゾーンです。
タッチラインから外側に30cm程度離した位置に引くのが規則の考え方です。土のグラウンドでラインが引けない場合は、マーカーコーンで交代ゾーンを示すことも規則上は可とされています。交代の際はこのゾーンを通ることがルールですので、選手にも事前に説明しておくとよいでしょう。
作業前に確認しておきたいチェックリスト
コート作りの当日に「道具が足りない」「寸法を調べ直す」という事態を避けるには、事前の確認が重要です。特に初めてコートを作る場合、所属チームや大会主催者からコート図の配布があるか確認しましょう。大会によってはコートサイズが通常の推奨と異なる場合があります。
実際の作業は3〜5名の人員がいると効率よく進められます。ライン引き担当・メジャー担当・印つけ担当に分けると作業が重複せず、短時間でコートを完成させられます。
| 確認項目 | 内容・ポイント |
|---|---|
| コートサイズ | 大会規定で推奨サイズ(68×50m)が修正されていないか確認 |
| ゴール固定 | アンカーで地面に固定されているか目視確認 |
| ラインの幅 | 12cm以下になっているか確認 |
| 任意のマーク | 公式戦では引いておくと安心(コーナーフラッグから7m) |
| 交代ゾーン | タッチラインの外側に6m分の表示があるか確認 |
| コーナーフラッグ | 4隅すべてに設置されているか確認 |
- 任意のマークは公式戦では引いておくと審判チェックで指摘されにくくなります。
- 交代ゾーンはタッチラインから30cm程度外側に引くか、マーカーで示します。
- 大会によってコートサイズの指定が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
- ゴールの固定確認は安全のため必ず行ってください。
- 作業前にチェックリストを作っておくと当日の抜け漏れを防げます。
円弧の引き方とよくある失敗への対処
センターサークルやペナルティアークは円弧を描く作業が必要です。メジャーを使えば道具なしでも引けますが、慣れないうちは線が歪みがちです。現場でよく起きるミスへの対処方法を合わせて整理しました。
メジャーを使った円弧の引き方
センターサークルはフィールドの中心(センターマーク)を起点に半径7mの円を描きます。1人がメジャーのゼロ端をセンターマークに置き、もう1人が7mの位置を保ちながらゆっくり回ります。ラインカーを持つ人がその7mの位置に沿って動くと、きれいな円弧を引けます。
ペナルティアークはペナルティマーク(スポット)を中心に半径7mで引きます。ただしペナルティエリアの内側には引かず、ペナルティエリアのゴールライン側のラインより外側にあたる部分だけが弧として見えます。作業前に「どの部分に弧が出るか」をイメージしておくと、引きすぎや引き残しを防げます。
よくある失敗と防ぐためのポイント
コート作りで多いミスのひとつが「ゴールポストの外側から測定してしまう」パターンです。規則ではゴールポストの「内側」から寸法を取るため、ポストの外側から測ると各エリアが狭くなります。審判チェックで発見されると修正が必要になります。
もうひとつのよくあるミスが「ゴールエリアの印とペナルティエリアの印を結び間違える」ことです。両エリアのライン引きは印の数が多くなるため、色違いのコーンを使い分けておくと取り違えを防げます。ゴールエリア用は内側寄り、ペナルティエリア用は外側、と決めておくとよいでしょう。
1人でも作業しやすくするための工夫
最低限の人数でコートを作る場合、メジャーに事前に各寸法の目印テープを貼っておくと測定が速くなります。4m・8m・12m・7mの位置にテープを貼っておけば、測るたびに数字を確認する手間が省けます。
地面への印はラインカーを「タン・タン」と短く打ちつけてマークする方法もありますが、ラインカーのタイヤやノズルの故障原因になる場合があります。少量の石灰を手で落としたり、マーカーコーンを仮置きする方が道具への負担を減らせます。
- センターサークルはセンターマークを中心に半径7mで、2人以上で引くとスムーズです。
- ゴールポストの寸法はポストの「内側」から測るのが正しい基準です。
- ゴールエリアとペナルティエリアの印は色違いのコーンで区別することを習慣にしましょう。
- メジャーへの目印テープは事前準備として効果的です。
- ラインカーをグラウンドに打ちつけるのは故障の原因になるため避けましょう。
まとめ
小学生(U-12)の8人制サッカーコートは、JFA公式の「8人制サッカー競技規則」の寸法をもとに、68m×50mのフィールドに各エリアを引いていきます。ゴールエリア(4m×4m)・ペナルティエリア(12m×12m)・センターサークル(半径7m)など、11人制との違いを押さえてから作業を始めるのが近道です。
直角の取り方(3:4:5の法則)・両サイド同時測定・ゴールポストの内側から測る、という3点を意識するだけで、コートの歪みや測定ミスを大きく減らせます。初めての作業でも3〜5名で役割を分ければ30分前後で完成できます。
最新の8人制サッカー競技規則はJFA公式サイト(jfa.jp)の「競技規則」ページから無料でダウンロードできます。大会によってサイズの指定が変わる場合もあるため、担当する試合の前に主催者の大会要項も合わせて確認しておくと安心です。

