小5(U-11)のトレセン選考会は、多くのサッカー少年少女が初めて「選抜」という場を経験するタイミングです。選考会と聞くと緊張感が高まりますが、何を見られているのかを事前に整理しておくだけで、子ども自身の準備の向きが変わります。
選考会の流れや採点方法は地域によって大きく異なります。一方で、どの地域でも共通して評価されやすい要素があることも事実です。選考の基準を正確に把握することが、選考会当日に実力を出すための第一歩になります。
この記事では、小5年代のトレセン選考会の仕組み・当日に評価されやすいプレーの特徴・保護者が事前に準備しておくポイントを整理します。お子さんが選考会を控えている方も、来年以降を見据えている方も、参考にしてみてください。
小5(U-11)のトレセン選考会とはどんな場か
トレセン(ナショナルトレーニングセンター制度)は、日本サッカー協会(JFA)が将来の日本代表候補を発掘・育成するために設けた制度です。小5年代はU-11カテゴリーにあたり、多くの地域でトレセン活動がスタートする年代にあたります。地域によっては4年生(U-10)から始まる場合もあります。
U-11トレセンはサッカー育成の入口にあたる
JFAのトレセン制度は、地区トレセン(市区町村・ブロック単位)から始まり、都道府県トレセン、地域トレセン、ナショナルトレセンという階層構造になっています。U-11(小5)の段階で参加するのは、この最初の入口にあたる地区トレセンです。
トレセンの目的は「チームを強くすること」ではなく、個の育成と優秀な素材の発掘にあります。JFAのトレセン概要では、レベルの高い選手同士を集め、良い環境・良い指導を与えることで「個」を高めることが目標と示されています。所属チームの活動を続けながら、月1〜2回程度のトレセン練習・交流戦に参加するかたちが基本です。
U-11はU-12(6年生)の一つ手前のカテゴリーです。5年生のトレセンメンバーが翌年のU-12でも踏襲されるケースは多い一方、4年生で選ばれなかった選手が5年・6年で選ばれ直すことも一般的です。5年生の段階での結果が最終的な評価とは限らない点は、保護者の方にも知っておいてほしい部分です。
選考会に参加するまでの流れ
地区トレセンの選考会に参加するには、まず所属チームのコーチ・監督から推薦を受けることが前提になる地域がほとんどです。希望者全員が参加できる地域もありますが、人口が多いエリアでは推薦制(チームあたりの上限人数が設定されている場合もある)が一般的です。
大阪・愛知など都市部の選考会の要項では、申込はチーム代表者経由が必須とされており、選手個人や保護者が直接申し込むことができない場合が多くあります。選考会への参加を希望する場合は、まず担当コーチに意志を伝え、推薦の可否を確認することが最初のステップになります。
JFA登録選手であることが参加資格として求められる地域もあります。登録状況についても、シーズン前に所属チームへ確認しておくとよいでしょう。
選考会の形式は地域によって大きく異なる
選考会の形式は地域によってさまざまです。1次・2次と段階的に絞っていくパターン、複数回の練習会で評価するパターン、1回の選考会で合否を決めるパターンなど、開催方法は統一されていません。
選考内容も地域によって異なります。ゲーム形式が中心の地域、50m走・短距離走などの走力測定を取り入れる地域、リフティングを評価に含める地域など、方針はまちまちです。リフティングを選考に入れている地域の関係者からは「個人の努力を継続できるかどうかを見るため」という理由も聞かれます。
参加資格:JFA登録選手+チーム推薦(地域によっては希望者全員可)
申込方法:チーム代表者経由(個人・保護者の直接申込は不可の地域が多い)
選考形式:ゲーム形式・走力測定・リフティングなど(地域によって異なる)
複数回選考か1発勝負かも地域によって異なる
- トレセンはU-11(小5)が多くの地域での入口にあたる
- 参加はチーム推薦が前提の地域が多く、個人申込はできないことが多い
- 選考の形式・回数・内容は地域によって大きく異なる
- 5年生で選ばれなくても、6年生で改めて選考が行われるのが一般的
選考会でコーチが見ているポイントを整理する
採点基準の詳細を公表している地区はほとんどありません。ただし、複数のトレセン関係者の証言や各地の選考要項から、共通して評価されやすい要素をある程度整理することはできます。小5年代に特有の傾向もあるため、年代に合わせて理解しておくことが大切です。
まず問われるのは「止めて蹴る」の精度
地区トレセン(小学生対象)では、最低限の技術として「止めて蹴る」ことが求められると言われています。トラップで落ち着いてボールをコントロールし、意図したところへパスやシュートを送れるかどうかが、評価の出発点になります。
ドリブルやリフティングの派手さよりも、1つ1つのプレーを丁寧に行えるかどうかが評価される場面は多くあります。「来たボールをすぐ蹴る」のではなく、状況を見てから次の動作に移れる選手は、コーチの目に留まりやすくなります。
小5年代では戦術的な役割よりも個人の技術水準が重視される傾向があります。まずはボールをしっかり扱えるかどうかを安定して見せることが基本になります。
走力・フィジカルが目立ちやすい理由
テクニックと並んで評価されやすいのが走力です。スピード・スタミナ・パワーのある選手は目に留まりやすく、選考通過につながりやすいとされています。走力は大人になってから後天的に伸びにくい要素とも言われており、将来性を見るうえでの判断材料になります。
体格については、小学生年代では一時的に大きな差が出やすい時期でもあります。体の大きさや早熟さが有利に働くケースもあります。ただし、小学校時代の体格は中学生年代で逆転することも多く、足元の技術がしっかりしていれば体格は最終的な評価に大きく響かないという見方もあります。
走力に自信がある場合は、選考会で積極的に走り勝ちにいく姿勢を見せることがアピールにつながります。逆に走力に自信がない場合は、ボール扱いの丁寧さや守備でのボール回収といった別の強みを前面に出すことを意識するとよいでしょう。
小5年代で特に評価されるオフ・ザ・ボールの動き
U-11年代のトレセン選考で注目される要素の一つが、ボールを持っていないときの動きです。攻撃時にサポートに入れているか、守備時にカバーリングの意識があるか、という点は「伸びしろの土台」として評価されるコーチも多くいます。
ボールばかりを見ず、周囲を見ながらプレーできる選手は、チームプレーのベースが身についていると判断されます。この習慣は短期間では身につきにくく、日常の練習の質が問われる部分でもあります。
東京都サッカー協会が公表している「Tokyo U-12’s way」でも、U-12年代のトレーニングテーマとして「動きながらのテクニック」「ゴールへ向かうビルドアップ」「高い位置からのボール奪取」が挙げられています。こうした動きを自然に表現できる選手が、評価されやすい傾向にあります。
コミュニケーションと自分で判断する姿勢も加点になる

選考会では、初めて会う選手たちとゲーム形式で戦います。その場で自分の考えを言葉にしたり、相手の意見を聞きながら動いたりできる姿勢は、コミュニケーション能力として評価に影響することがあります。
トレセンは複数のチームから集まった選手が即席でチームを組む場です。普段のチームで全部コーチの指示に従っている選手より、自分で状況を判断して動ける選手の方が、初めての環境で力を発揮しやすくなります。
GKは特にコーチングを見られることが多いという声もあります。ポジションによって求められるコミュニケーションの種類は異なりますが、「何もしない」よりも積極的に声を出しながらプレーする姿勢は、全ポジションに共通してプラスになります。
| 評価されやすい要素 | 小5年代での位置づけ |
|---|---|
| 止めて蹴る精度 | 最低限の基準として必須 |
| 走力・スピード | 目立ちやすく将来性の指標にもなる |
| オフ・ザ・ボールの動き | 伸びしろの土台として評価される |
| 自分で判断する姿勢 | 戦術理解の芽として見られる |
| コミュニケーション | 初見の選手と動ける即応力として評価 |
- 「止めて蹴る」の安定感が評価の基本ライン
- 走力・スピードは将来性の指標として重視される傾向がある
- オフ・ザ・ボールの動きは「伸びしろ」として評価されやすい
- 自分で判断し動く姿勢とコミュニケーション力も評価に加わる
選考会当日に意識したいプレーの出し方
何を見られているかを理解したうえで、当日どう動くかを考えておくことが大切です。「選ばれようと力んでしまう」「緊張で普段の力が出ない」という状況は、どの選手にも起こりうることです。事前に当日のイメージを持っておくだけで、気持ちの整理がしやすくなります。
緊張の中でも自分の強みを見せる
選考会は普段と異なる環境で行われるため、緊張から実力が出せない選手も少なくありません。ただし、どんな環境でも自分の力を発揮できることも実力の一つとされています。緊張することは自然なことですが、事前にどんな場面でどんなプレーをするかをイメージしておくと、本番で動きやすくなります。
「どこかで絶対に目立とう」と狙いすぎると独りよがりなプレーになりやすくなります。コーチはゴールを決めた場面だけでなく、その前後の判断や動き方、周囲との関わり方も見ています。目立つプレーよりも、自分の強みを自然に発揮する流れを意識するとよいでしょう。
普段の試合で自分が得意としていること(素早い出足、正確なキック、体を張ったディフェンスなど)を、選考会の中でも同じように出せることが目標になります。
丁寧なプレーで印象を残す
ボールが来たら落ち着いてコントロールし、次のプレーへつなげる。この一連の流れを丁寧に行える選手は、コーチからの印象が安定します。ミスの少なさや無駄な動作のなさも、評価につながる要素です。
パスを相手に引っかけてしまう、無理なドリブルでボールを失うといったプレーは評価を下げる原因になります。特に「ボールを失わない」意識は、選考会でのプレーの軸にしやすいポイントです。地区トレセンのレベルでは、基本的な運動能力とボール扱いの安定感があれば通過できるケースも十分あります。
ボール扱いに自信が持てない段階にある場合でも、守備でのボール回収を積極的に行う、運動量で周囲の選手より多く走る、といったプレーでコーチの目に入ることはあります。自分の強みに合わせた関わり方を選べるとよいでしょう。
ポジション別に意識したいアピール
FWや攻撃的なポジションでは、足の速さを生かした抜け出しや、ボールを受けてからの仕掛けがアピールになります。シュートの積極性も評価されやすいポイントです。
MF・DFでは、ボールを奪う積極性と、奪った後のパスの選択が見られます。自分のマークから確実にボールを奪いつつ、周囲の選手もカバーできる動きを見せられると評価が高まります。パスミスによるボールロストには注意が必要で、丁寧なつなぎを意識してください。
GKはセービングだけでなく、声(コーチング)が重視されます。フィールドの選手に対して声でコミュニケーションを取る姿勢を見せることが、GK評価の重要な要素になります。
FW・攻撃:スピードを生かした抜け出し・積極的なシュート
MF・DF:ボール奪取の積極性・奪った後の丁寧なパス
GK:セービング+フィールドへの声(コーチング)
- 緊張してもできる範囲で自分の強みを出すことを意識する
- 「ボールを失わない」丁寧なプレーは評価の安定につながる
- 目立つ場面を作ろうとするよりも、積み重ねで印象を作る
- ポジションに合わせたアピールを事前にイメージしておく
選考会前に保護者が準備しておくこと
トレセン選考会は子ども自身が受けるものですが、参加までの手続きや当日の準備には保護者のサポートが欠かせません。また、結果の受け止め方についても、保護者の関わり方が子どものメンタルに影響します。事前に整理しておくとよい点を確認しておきましょう。
参加手続きはチーム経由が基本
多くの地区で、選考会への申込はチームの代表者(コーチ・監督)が行う形になっています。保護者や選手個人が直接申し込むことができない地区がほとんどです。選考会への参加を希望する場合は、まず担当コーチに意志を伝え、推薦をもらえるかどうかを確認するところから始めます。
コーチからの推薦なしには選考会に参加できないケースが多いため、希望があるにもかかわらず黙っていたために推薦されなかった、というケースも起こりえます。参加したい気持ちがある場合は、入団時・シーズン初めに早めに意思表示しておくことをすすめます。保護者が意志を伝えることは、遠慮しすぎずに行ってよい場面です。
持ち物・当日のスケジュール確認
選考会当日の持ち物は、サッカーができる服装・装具・ボール・飲料が基本です。大阪府サッカー協会の2025年度選考会要項でも、これらが準備物として挙げられています。ボールなど持ち物には必ず名前を書いておくと紛失防止になります。
選考会は雨天決行の場合がほとんどです。当日の天気にかかわらず参加できる服装を整えておくとよいでしょう。複数回の選考会が設定されている地域では、2回とも参加しないと合格にならない場合があります。日程の確認と調整を早めに行うことが大切です。
保護者が観覧できる場合でも、観覧エリアや行動のルールが定められていることが多くあります。コーチへの問い合わせや選手への声かけについて、主催者の指示に従って行動するようにしましょう。
落選後の受け止め方と次のステップ
選考会の結果がどうであれ、推薦を受けた段階でチームから一定の評価を受けているという事実があります。落選した場合でも、「何が足りなかったか」を整理する機会にすることができます。選考基準の詳細は公表されていないため、結果から全てを読み取ることは難しいですが、コーチに振り返りの場を設けてもらえると、次の目標につながりやすくなります。
小5で選ばれなかった場合でも、小6(U-12)のカテゴリーで改めて選考が行われます。半年程度テーマを絞って集中的に練習を積めば、次の選考会でコーチの目に留まることは十分にあります。子ども自身が落ち込んでいるときは、結果の評価よりも取り組んだこと自体を認める言葉かけが助けになります。
なお、選考会での負傷については応急処置のみ対応される場合が多く、その後の対応は保護者が責任を持って行う形になります。参加前に万が一のときの対応についても確認しておくと安心です。
| 確認事項 | ポイント |
|---|---|
| 推薦を受けるための意思表示 | コーチに早めに希望を伝える |
| 申込手続き | チーム経由(個人申込不可の地域が多い) |
| 持ち物 | 服装・装具・ボール・飲料。名前を書く |
| 日程 | 雨天決行が多い。複数回選考の場合は全日程確認 |
| 観覧ルール | 主催者の指示に従う |
| 落選後 | U-12での再選考がある。取り組みを振り返る機会にする |
- 参加申込はチーム経由が基本。参加希望はコーチに早めに伝える
- 持ち物に名前を書く・日程の全容を確認するなど実務的な準備を忘れない
- 観覧時はルールに従い、子どもの集中を妨げない関わり方を意識する
- 落選しても次の選考機会がある。取り組みを振り返る姿勢が大切
まとめ
小5(U-11)のトレセン選考会で評価されやすい要素は、止めて蹴るの精度・走力・オフ・ザ・ボールの動き・自分で判断する姿勢の4点が軸になります。選考基準の詳細は地域によって異なるため、まずは所属地区の選考形式を確認しておくことが大切です。
まず取り組めることとして、日常の練習でボールを丁寧に扱う習慣を続けること、そしてボールを持っていないときにどう動くかを意識してみてください。選考会への参加を希望する場合は、コーチへの意思表示を早めに行いましょう。
選考会は通過点の一つです。結果にかかわらず、選考会に向けて準備を重ねた経験は、お子さんのサッカーへの向き合い方を一段深めてくれます。焦らず、でも積み上げることを大切にしながら、次のステップへ進んでいきましょう。


